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zoom RSS ミュージカル「スウィニー・トッド」鑑賞(in 日生劇場)

<<   作成日時 : 2007/01/27 00:00   >>

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凄い。先週見た「ミュージカル・ザ・タイタニック」の13.5倍面白い(笑)
 妻が「25年前に染五郎主演で見た」という作品。
 ブロードウェイ・ミュージカルの再演である。何故今なのかは分からない。
 ストーリーは、

 美しい妻を持つ理髪師(主人公)が、彼女に横恋慕する判事の陰謀により無実の罪を着せられて島流しにあうが、15年の時を経て街に戻ってくる。
 妻は生死不明、娘は判事の養女になっている。
 理髪師は偽名「スウィニー・トッド」を名乗り、「街一番まずいパイ屋」の二階で理髪店を再開、そのカミソリで髭をそりに来た判事の首をかき切る事を目論む。
 だがそこに、トッドの正体を知る男がやってきて脅迫。トッドは男を殺してしまう。
 死体の処理方法を思案するトッドに食材不足に悩んでいたパイ屋の女将さんは、パイの材料にしてしまうことを提案する。
 翌日から、パイ屋は大評判…
 やがてパイ屋の女将はトッドに復讐など止めて一緒に暮らそうと持ちかけるのだが、事体は破局に向かって転がり始めていた…

 …という話。
 何が「ミュージカル・ザ・タイタニック」の13.5倍面白いのかと言うと、やっぱり「物語がある」ということだろう。
 タイタニックのミュージカルは「史実」にもたれかかりすぎ。点と点を線で結んだように、誰もが知っている史実を並べただけではミュージカルは出来ない。
 「スウィニー・トッド」は、まるでホントにあったような物語をうまく紡いでいる。実際元になった戯曲の背景には、当時の世間で噂されていた怪事件が様々あるようだが、そもそも現代日本でもちょうど複数のバラバラ殺人事件がマスコミで取り沙汰されている最中のことで、その、ウソとマコトの狭間を漂うグレーな感じがたまらなくスリリングなのだ。
 原作戯曲ではトッドという存在は、民衆の共同幻想であるかのように書かれているそうだが、今度の演出ではそういう要素は無い。
 死体をパイの材料に使ってしまうという狂気は「パイ屋の女将」に任せて、トッド本人は悲劇の主人公としてストレートな復讐譚を紡ぐ。
 「人肉パイ」というアイテムは十分にオカルトだが、主人公とパイ屋が役割を分担することで、猟奇的事件で有りながら、主人公の正気を担保しているような絶妙のバランスがある。
 狂ってしまっては復讐を成し遂げることは出来ない。本当に恐ろしいのは「正気の人間がしでかすこと」なのだ。
 パイ屋の女将でさえ、その行為は狂気でありながら、貧乏のどん底から抜け出した後は、正気の世界に戻ろうと抵抗を見せる。
 物語を狂気と正気の視点から見れば、他の登場人物も社会的に理性を代表すべき「判事」が、そもそもの事件の発端である好色の罪を犯し、さらに養女を妻に迎えようとしたり、逃げ出した養女が正気のまま精神病院に入れられたり、発狂した「謎の女乞食」がラストの鍵を握っていたりと、狂気と正気の錯綜する模様はこのミュージカルの全体を形作っている。
 恋に狂う、金に狂う、正気はどこにあるのかと見回したとき、復讐に狂う…と見えるトッドが、実はかなり正気の側にいるのではないかと思えるのが、興味深いところなのだ。

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